夜間中学が不登校の子の受け皿に
夜間中学は、戦後に充分に教育を受けられなかった人や、外国籍の人のための教育の場でしたが、近年は不登校の現役中学生を受け入れる夜間中学もできてきました。
以前は現役中学生の受け入れは禁止されていたのが、不登校の増加とともに変化してきたようです。
令和元年に文科省から通知された「不登校児童生徒への支援の在り方について」は、
「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく・・・。
という文言が、学校が不登校の児童・生徒へすべき対応&すべきでない対応を国が示した画期的通達ですが、本通知には夜間中学に関する重要な事も述べられています。
児童生徒の才能や能力に応じて,それぞれの可能性を伸ばせるよう,本人の希望を尊重した上で,場合によっては,教育支援センターや不登校特例校,ICTを活用した学習支援,フリースクール,中学校夜間学級(以下,「夜間中学」という。)での受入れなど,様々な関係機関等を活用し社会的自立への支援を行うこと。
元文科初第698号 令和元年10月25日 より
つまり『現役の中学生は夜間中学に通ってOK』と文科省が明文化しています。
これによってか、「○○県の夜間中学が、来年度から現役中学生の入学を受け入れを決定した」という記事をしばしば見るようになりました。
子供の選択肢が増えることは良い事です。子供の嗜好・性格は多様ですから。
地元の中学に籍を置く必要があるのか?
ただ、気になる点は
夜間中学に在籍すれば、通常の中学に在籍しなくても良いのかどうか?
です。
通信制高校で有名なN高にも、「N中等部」という通信制中学がありますが学校教育法(昭和22年)が定める一条校ではないため、形式上は地元の通常の中学に在籍しなければなりません(過去記事「通信制”中学”を文科省は認可していない①」)。
この形式的なシステムは、フリースクールの出席等を学校に認めてもらう形式と同じデメリットがあります(過去記事<文科省の「不登校児童生徒のフリースクール等での学習の成果を学校の成績に反映させる」は上手くいかないと思う>)。
「在籍しているけれど登校していない地元の学校に、出席を認めていただく必要がある」ことです。
では、夜間中学について文科省ホームページの資料を見てみると、
「昼間の中学校で不登校となっている学齢生徒を夜間中学に在籍させる場合、学校教育法施行規則第56条の規定に基づき、不登校特例校に係る申請をする必要がある」
文部科学省HP 夜間中学の設置・充実に向けて【手引】(第3次改訂版) より
との記載があり「現役の中学生の場合は、不登校特例校(学びの多様化学校)と夜間中学はセットなのか?」と思われる文言があります。
学びの多様化学校は国が認める一条校ですので、地元の通常中学校に在籍する必要は無さそうです。
学びの多様化学校(不登校特例校)?
夜間中学も一条校ですが、現役中学生が所属する場合は、「その夜間中学は、学びの多様化学校でもある」必要があるっぽいです(私が知り得た範囲の情報では)が、まだ少数であり今後流動的に変わっていく気もします。
では、学びの多様化学校とは何なのか?
次回の投稿では、「学びの多様化学校(不登校特例校)」について考えてみたいと思います。