先日、不登校専門クリニックの医師が「不登校児のうち、98.5%が何らかの精神疾患を有していて、ほとんどは薬で症状が改善し10%は登校できるようになった」と言っている事に対して、反論の投稿をしました(過去記事<「不登校は精神疾患。薬で治る」との報道に反論>)。
その医師の発言について私は、「個人的な考え」に基づいている部分が大きいもののビジネス化を狙っている感じをそれほど受けませんでした。
自由診療で稼ぐ医療機関
一方、発達障害をビジネスとして利用していると思われる医療機関があります。
健康保険を使わない(=使えない)自由診療で、診断と治療をおこなっているようです。
自由診療とは、その医療機関が”自由に”診療費用を決めるという事です。
藁にもすがる思いの親子に対して「専門家」の立場でアドバイスをするので、子と親がその医師の発言を信じる確率は、不登校専門クリニックの医師の場合と同様に高いでしょう。
しかし、ビジネス化している医療機関のさらに悪い点は「発達障害の家庭に経済的ダメージも与える」という点です。
子が発達障害である場合、親は子供に対して自分の時間を割かなければならない時間は増え、安定した仕事を継続することが難しくなる場合も出てきます。
となると、家庭の収入が減少していくわけですが、そこに自由診療の高額な診療費の支払いが生じると、さらに親は精神的に追い詰められます。
”商売は騙し合い”という言葉もあるようですが、身体の深刻な困りごとについて、圧倒的な専門家(とされている人)が本当に困っている人を騙すことは、物品の売買とは違う次元の話だと思います。
芸能人も検査を受けた
昨年、芸能人が「医療機関で脳波検査を受けて、発達障害と診断された」とネット上で発言し、「脳波検査をもって発達障害と診断する事は無い」と反論する専門家が複数いらっしゃり、少し議論になりました。
私は専門家ではないので厳密なコメントができませんが、これも「何の基準をもって、発達障害と診断するか」によるのでしょうが、その診断基準が発達障害では難しいのだと思われます。
「骨折があるか無いか」のような単純な疾患ではありませんから。
単純でないからこそ、ビジネスがつけ込めてしまうとも言えます。
保険が使えない検査と治療
自由診療の医療機関で、発達障害の診断のために行われている脳波検査は「QEEG検査(定量的脳波検査)」が多いようですが、現時点で健康保険では認められていません。
ですので、子供の保険証は使えませんし、費用もクリニックが独自に決めることができてしまいます。
そして、発達障害との診断を受けたら「治療もあります」と言われ、「TMS治療(経頭蓋磁気刺激療法)」を提案されるようです。
このTMS治療も現時点では日本では健康保険で認められていません。(ただし、「うつ病」の診断では保険で認められています)
費用に見合った効果が自覚できればもちろん良いですが、効果が乏しいとわかった時の子供と親のダメージ(精神的&経済的な)が大きすぎます。
規制と啓発が必要だと思いますが、なかなか難しいというのが現実です。